旅屋おかえりあらすじﾈﾀﾊﾞﾚ!小説の感想や評価は?無料で読む方法も

2021年12月3日2021年12月23日

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集英社文庫出版の小説「旅屋おかえり」。

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旅屋おかえり続編(丘の上の賢人)あらすじ感想!小説の評価も

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原作小説「旅屋おかえり」あらすじネタバレ【原田マハ　集英社文庫】

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主人公は、丘えりか。３２歳のタレントです。売れている芸能人というわけでなく、レギュラー番組を一つ持つだけの芸能プロダクション「よろずや」の一員という肩書です。(本名・岡林　恵理子)
　彼女は１８歳の時にスカウトされ、故郷の北海道は礼文島から東京にやってきたのでした。小さいころの夢は「島を出て遠くまで移動すること」電車も高速もない島で、父親の応援もあり、広い世界を旅することをずっと夢見ていました。その父も主人公が高校卒業間近に他界。「芸能人として大成するまで故郷には帰ってくるな」と死の間際、約束します。
　そんな彼女が持つ番組は通称「ちょびっ旅」といいます。仕事仲間とも気が合い、好きな旅もできる、主人公は幸せを日々感じています。視聴率はそれほどありませんが、特に高齢の方々に好評で温かい手紙をいただくこともあります。ただし、所属の芸プロは主人公を入れて３人。スポンサーはたった一社という風前の灯火状態。
　ある時事件は起こります。なんと、スポンサーのライバル会社の宣伝をしたと勘違いされ、番組は打ち切りになってしまうのです。故郷にも帰れない、しかし仕事も無い、主人公は色々な伝手を頼りに奔走しますがどこも渋い顔で、主人公は悲観にくれます。
　数日後、事務所に和装のご婦人がやってきます。「あなたに頼みがあります。娘の代わりに旅をしていただきたいのです」と言うのです。詳しく聞くと、ご婦人の娘さんの真与さんは難病でしかも死にたいと、悲観にくれているらしいのです。ご婦人と真与さんは「ちょびっ旅」のファンで主人公にぜひ代わりに思い出の場所に行ってほしいと懇願します。
　鉄壁社長の許可を得て、主人公は旅屋をすることになります。カメラの撮り方や服なども昔の仕事仲間から教えてもらい、旅屋として主人公は角館に出発するのでした。
　目的だった桜も撮り、DVDにして真与さんに見てもらいます。結果は大成功。「家族ともう一度角館に行く」と息まいているそうです。
　旅屋としての仕事も20回目となったある日、かつてのスポンサーである悦子会長から「旅をしてほしい。その出来でもう一度番組を支援するか決めたい」と依頼を受けます。内容は、会長の姪である国沢真理子さんに会って、会長の妹の墓参りをしてほしい。その時袱紗の中身を墓前に供え、空になった袱紗を持ち帰ってほしい」という内容です。
　了解するのですが鉄壁社長の元気がありません。実は真理子さんは社長の元奥さんであり、かなり険悪な離婚をしてそれっきり、ということでした。事情を知っている周囲の人はこれは嫌がらせだと反対しますが、主人公はどうしてもそうは思えず、周囲を振りきって愛媛に行きます。
　首尾よく真理子さんを見つけたものの、正体はばれており「鉄壁社長の差し金なら帰って。一生あの人は許さない」と言われてしまいます。実は真理子さんと鉄壁社長のあいだには美歌ちゃんという娘さんがいて事故で亡くなっていたのです。その死の間際鉄壁社長は仕事を優先して臨終に間に合いませんでした。それして悦子会長のことも「母は養子先でつらい目に遭っていたのに今更なんで」と拒否します。今日は主人公を泊めるけれど明日すぐ帰って、とも言われてしまい、主人公は一晩中悩みます。
　次の日、なんの良いアイデアも浮かばず起きるのですが、車に乗った真理子さんが一緒に紅葉を見に行こうと言いだし、主人公は車に乗り込みます。死んだ娘の夢を今朝見た、笑顔で紅葉を持っていたので、会いに来てという意味だろうと言われます。
　和紙職人の古民家で一泊し、二人はついに墓に行きます。袱紗を開けると紺地に白い絣の切れ端が入っており、真理子さんは涙します。実はその端切れは真理子さんの母親が大事に着ていたワンピースの端切れで、真理子さんにも思い入れのあるものだったのです。会長は母を忘れてなかった、と知ります。紅葉を見ながら主人公と真理子さんはたくさん話し、互いを理解するのでした。
　東京に帰るため飛行機で空港まで行くと真理子さんは「今度は鉄壁社長を連れて来てもいいよ」と言いました。
　さて、いよいよ旅の成果を悦子会長に告げる日がきました。しかし袱紗の中を依頼通りのカラに出来なかったと主人公は言います。では依頼は失敗か、と思われ悦子会長が袱紗を開けると、そこには真理子さんから「愛媛に来ませんか」というメッセージが入っていました。
　依頼は成功で、番組再開を許可された主人公ですが断ります。もっと旅屋としての仕事をしたいから、というのでした。

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旅屋おかえり続編(丘の上の賢人)あらすじ感想!小説の評価も

　感想

　原田マハさんは映画「総理の夫」の原作者。この方の小説なので、きっと楽しいだろうと読み始めました。
　主人公は旅番組も持っているタレントの丘えりか。彼女は有名なところは行きつくし、今はローカル線を回るくらいの旅好きです。好きなことが仕事になって彼女は幸せを感じています。そのせいか、番組は一部で静かな人気をもっています。
　しかし些細な勘違いから、その番組は打ち切りの憂き目にあってしまい、意気消沈してしまいます。
　数日後、彼女のもとに和服の女性が訪ねて来、難病の娘の代わりに旅をしてDVDとして持ってきてくれないか、と主人公に依頼します。最初は事の重大さに怖気づく主人公でしたが、仕事仲間の支援もあり、枝垂桜を撮りに「旅屋」として出発するのでした。
　そんなこんなで駅に着くのですが、なんと大雨になってしまいます。自分なら、桜が散る、最悪だ。とさっさと宿で不貞寝するシーンだなと思ったのですが、主人公は違います。なんと大雨もカメラに映し、ずぶ濡れになりながらナレーションをします。駅員さんもびっくりしますが、駅員さんにインタビューまでするのでした。
　そして宿に着くと、今度は大雪です。しかし主人公はその雪の美しさに感動し、是非とも映像に撮らなくてはと撮影するのでした。桜の事はもちろん心配しつつも、目の前の幸せに浸ることができるなんて、と感心しました。自分なら桜の映像をとるだけしか考えられず、目の前の美しい景色なんて目に入らないでしょう。そして、自分にはどうしようもできない天気に悪態をついて、いやな気持になって、誰かに八つ当たりしてしまうかもしれません。
　主人公の目線はとてもエキサイティングに満ちていて、一緒に居たなら日々がキラキラしてみえるのではないだろうか、と思ってしまうほどです。その目線の証拠に、主人公はけっして人を路傍の人にしてしまわない、という場面があります。主人公は映像に、旅で出会った駅員さん、電車で隣り合わせた人、宿の人、その子供たちを撮ります。皆迷惑がることなく答えるのは、主人公がざっくばらんな全てを隠さない正直な人であるからだと思います。旅は終わり、難病の娘さんにも喜んでもらえたのでした。
　さて、これは主人公の成長物語でもあるな、とも思いました。主人公は両親と「芸能界で大成するまでは故郷に帰らない」と約束します。大成とは、人気者になる、とか大金を得るなどであるので、主人公は少しの成長では満足しません。番組を持ってもまだ帰れない、と思うのでした。しかし、物語ラストで「大成はできなかった、でも旅するごとに故郷が近づいている気がする、帰ってもいいか」と母親に打診します。主人公は３０を過ぎていて、背が伸びたりするわけではありませんし、大成も出来たわけではありません。ですが、旅するごとにのセリフからわかるように、旅を通して内面の成長と「いまここの私」を肯定する事ができるようになったのだろうと思います。
　この小説は登場人物皆が優しく暖かで、明確な悪人は出てきません。また、ここで盛り上げて読者を泣かせよう、などという作為もなく、ただただ一人一人の思いやりが雪のように降り積もって、涙腺の弱い方ならほろりときてしまうような感性をゆらゆらさせるような優しい作品です。
　ハートウォーミングな小説を最近読んでないな、人との交流で癒される話が読みたいな、という方にはピッタリの小説になっています。

　ネット上の口コミ・評価

てん
@ten_ten_bk
·
11月20日
旅屋おかえり／原田マハ

旅をするからわかること、そして「おかえり」と笑顔で迎えてくれる存在のあたたかさ……いつの間にかぽろぽろ泣いていました。大切な人の幸せを願い、つらい過去があろうともまっすぐ生きる人たちの強さと優しさに心ごと抱きしめられたようなふわふわした気分です。

Ohirosan@統合失調症回復期
@Ohirosan_t05
·
11月15日
#読了
原田マハさんの「旅屋おかえり」
すごくすんなり読めました！
鳴かず飛ばずの元タレントが、旅番組の終了に伴いひょんなことから旅を代行するというお話。
そこで出会う人々の温かい出迎えが家族のようで感動しました。
話し言葉的で読みやすいのでオススメです！

はちみつさん
@13dokodemo19
·
11月14日
原田マハ「旅屋おかえり」読んだ。マハさんの作品で美術系じゃないの初めて読んだ？こころ温まるお話でした。コロナおさまったら四国行きたいなぁって思っていたら本の中で四国に行くお話があってビックリ。ホント四国行きたい。

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