月とﾗｲｶと吸血姫完結7巻ﾈﾀﾊﾞﾚあらすじと小説感想!無料で読む方法も

2021年12月16日2022年1月18日

「月とライカと吸血姫7巻」試し読みはこちら

小学館出版の小説「月とライカと吸血姫7巻」。

この記事ではそのあらすじネタバレと感想、無料またはお得に読む方法も紹介していきます。

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2021年12月時点の情報です。現在は配信終了している場合もありますので、詳細は公式ページをご確認ください。

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原作小説「月とライカと吸血姫最終巻7巻　月面着陸編・下」あらすじネタバレ！感想も！【牧野圭祐　小学館】

「月とライカと吸血姫7巻」試し読みはこちら

　ついに最終巻です。SF小説の面もあり、わくわくしながら読み始めました。
　この物語は、人間のレフと吸血鬼イリナを中心に展開していきます。レフとイリナは共に共和国の宇宙パイロットで、月面着陸を夢見ています。この世界には、共和国と連合王国の2大勢力があり、月面飛行に関してどちらが優れているか競い合っていました。しかし、利害が一致し今度は共同で月面着陸を目指すことになったのです。
　下巻は華々しい式典から開始されます。連合王国の首相が共和国に公式訪問し、2国の代表者は、平和と宇宙開発の国際協力を観衆の前で宣言します。その裏で画策されている「世界政府構想」について、式典の後高官にレフは尋ねます。高官が言うには新世界秩序という組織が国とは別にあり、共和国と連合王国が同盟し、世界を支配することを目標としているとのことでした。ただし、レフたちの宇宙開発は平和利用する、と高官は言います。宇宙船は司令・機械船と、連合王国から打ちあがる月着陸船の2機で行われます。レフは共和国の宇宙船の命名をしたいと願い、高官は承諾します。
この場面は、他国に軍事力や技術力を見せつけ支配の足掛かりにしようとする政府側と、夢のために周りの人と協力して目標を達成しようとするレフ達の対比となっています。政府に利用されるかもしれない恐れを抱きながら、それでも目標を見失わない月面着陸を目指す人々の強さ、志が対比表現によってよりいっそう表れているところだと思いました。
　式典の日は落ち、レフたちは1週間ほどの休暇を与えられます。これを機にイリナや吸血種族のことをもっと理解したいと考えたレフは、イリナの故郷であるアニヴァル村を訪問しようと決めます。イリナは、ある心配をしていました。
人間の味方をし、村の人から裏切ったと思われているのではないかと。
しかし、謝罪のために帰ることを決意します。
　吸血種族は科学技術を使わず、自給自足で生活しています。村の人々はイリナたちを歓迎し、嫌われてなどなかったことがわかります。食事後、イリナは自分が昔住んでいた城にレフを案内しました。吸血種族の伝承では、吸血鬼は死んで火葬されたあと、オーロラの橋を渡って月に行くのだとされています。それで吸血種族は自分たちのことを月の民と呼んでいるのだといいます。つまり、戦で人間に殺された吸血種族が眠る月へ、吸血鬼であるイリナが人間を導くのは、彼らへの裏切りなのではないかと彼女は苦悩し、全てが終わったらこの村に帰るといいます。しかしレフは、そんな彼女を一生かけて理解したい、自分たちは人間と吸血鬼だけど同じ地球人であると言い、イリナもレフと一緒になることを月に、死んでいった者たちに宣言するのでした。
　この時の地球人でくくったレフは心が広いと感じました。大人たちは大人子供、自国民と外国人など、自分たちを分断する言葉を使いお互いをいがみ合わせるということもします。ですが、分断する言葉を逆に統合するために使っていることに視点の広さを感じ、また差別の心のないレフの心情人柄が現れていると思いました。
　第3ミッションは、月に着陸する場所を決めるための飛行で、探索機によって撮られた精巧かつ詳細な写真を回収する作業でした。これも飛行士達、管制官達の努力と技術で完了。そして第4ミッションも成功するのでした。
　いよいよ最終ミッションである、有人月面着陸です。そのミッションの前に、月着陸計画の立役者であるスラヴァ・コローヴィンに、レフとイリナは会いにいきます。式典の際に高官に約束させた、司令・機械船の名前の決定を告げるために。病室には未だ目覚めないコローヴィンが横になっており、彼の娘さんに司令・機械船はスラヴァにしたよ、と伝えるのでした。
　最期の任務は月面着陸なのですが、司令・機械船にイリナを残し、月着陸船を共和国代表レフと連合代表ネイサンが操縦、月面有人着陸をなすことになってしまいます。レフはイリナを月に着陸させられないことを残念に思いますが、二人の揃いの指輪を買い、台座に乗せる月の石を持って帰ることを約束するのでした。
　最終ミッション当日、ロケット搭乗口に進むレフ、イリナ、ネイサンは共和国連合王国の人々に応援されながら月を目指すのでした。ロケットは無事に打ちあがり、管制官と連絡を取りながら月を目指します。地球の重力から離れ、月周回軌道に乗ることになります。宇宙空間ではTVで宇宙の様子を伝えます。イリナを映しながらレフは、この映像でイリナを見る人々が、吸血鬼に対する偏見を無くしてくれればいいと感じます。
　打ち上げから3日たち、宇宙船は地球の重力を越え、月へと向かっています。月周回軌道に乗った船はどんどん月に近づき、荒涼とした風景が3人を圧倒します。現実の月は、岩やクレーターのある不気味な姿ですが、それとともにレフは長い間あこがれ続けていた月に着くのだという感動も感じるのでした。　
　先に打ちあがっていた月着陸船にスラヴァを接続し、レフとネイサンは月着陸船に、乗り、イリナは母船であるスラヴァで2人の帰りを待ちます。着陸する場所は、静かの海と名づけられた場所でしたが、近くで確認すると平らなどではなくごつごつした岩場でした。そんなところに着陸は出来ないので、レフは懸命に着陸場所を探します。燃料の残りは約5分、管制官から着陸するか中止するかの判断が告げられてしまう前に着陸場所を決めないといけません。最後の最後までレフは諦めず、月表面に、月着陸船は無事、着陸するのでした。
　アポロ11号の時の人々の気持ち、着陸した人の気持ちはこうだったのかな、と感じるくらいこの場面は感動しました。文化や習慣の違いはあれど、同じ夢に向かって人々が自分の得意なことを持ち寄せ合い、裏方も表に立つ人も関係なくそれを達成した時の喜びを感じました。小規模かもしれませんが、学生時代の文化祭運動会で遅くまで学校に残りながら皆で作ったダンスや、飾りが完成し当日に展示するわくわく感を思い出しました。
　管制官とイリナに着陸成功を報告し感謝を述べ、いよいよ月に踏み出します。月面の様子を報告し、月の地面に降り、レフの願いが叶ったのでした。けれど次はイリナを月に連れてくる、それが新たなレフの目標となるのでした。　
　この小説を読む前は、ライトノベルは中高生が読むものだと考えていたので、どうかな、感情移入できるだろうかと思っていましたが、レフたち月面着陸を目指して協力する人達にどんどん引き込まれていきました。本の始めに年表と人物説明があるので、この巻から読み始めても十分話が分かるようになっています。この本を読んでSFに興味が出てくる人もいるだろうと思いました。
　自分は文系なので、本書に出てくる詳しい機器の説明が上手くイメージしづらい場面もあり、理系の人なら本書をもっと楽しく読むことができるのではと思います。ですが、話の筋を見失わない程度の専門用語なので、ここからＳＦ用語に詳しくなるか、そこは置いといて話の流れを追うか分かれて楽しむこともできると思いました。
　本書は夢に向かう楽しさと頑張り、皆で協力することの心の高揚を、まるで眼前に浮かんでくるかのように書きしるしてあり、その経験があるひとは当時を思い出し、ない人は疑似体験できるようにもなっていて、おすすめの一冊です。　

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